無常を否定している人は、自分の腹底に蠢く醜い感情に気づくことはない。
だから、自分の心は綺麗であり、穏やかであると勘違いして、罪悪の話をしても、自分には関係のないことだと思って安心している。
でも、考えても見て下さい。仏でもないのに、自分の心がそんなに綺麗な筈がない。
後生の一大事は自分とは関係のない人なんていない。
そんな人は自分の感情が見えてないだけだ。
みんな無常を否定し、我によって自分の心を固めているから、自分の心に潜む醜い感情が見えていない。
そんな人もいざ臨終が迫ってくると得体の知れない恐怖が襲ってくる。
今まで大丈夫だと安心していた心が段々と不安になる。どんなに自分は大丈夫だと思っても、心の中に得体の知れない闇があって、そこから不安が吹き上がる。そして、臨終には真っ暗闇になる。
これが無明の闇と言われるものなのである。
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